ものは考えよう

「ものは考えよう」

小さいころ、私はよく熱を出す子どもでした。

3月生まれだったせいか、同学年の子たちにくらべて身体は小さく、体力がなかったせいもあるでしょうが、それに加えて、気も弱くて、幼稚園バスを待つときも先頭に立っていたはずが、気が付いたら一番後ろに押しやられていた、そんなこともよくありました。

今ではその面影はみじんもないかもしれませんが(笑)、つまり、体力的にも精神的にも「ひ弱な子」だったと自分でも思います。

カゼをひいて熱を出すだけではなく、突然顔色が悪くなって嘔吐して何日も何も食べられない、そんな症状に悩まされることもしょっちゅうでした。

そうなると動けないので、かかりつけのお医者さんに往診に来てもらっていたのですが、母やお医者さんはそんな症状のことを「自家中毒」と呼んでいました。

「自家中毒」になるのは、ピアノの発表会の前や学校の行事の前になることが多く、最初はオロオロしていた母もそのうちに「またあれね、自家中毒ね」という反応になっていきました。

いったん症状が治まったらケロッとしている極めて予後のよい病気ではありますが、ただ、本人としてはとにかく苦しかったことを覚えています。

ちなみに、「自家中毒」というのは俗称で、「周期性嘔吐(おうと)症」と呼ばれることも多く「アセトン血性嘔吐症」とも呼ばれ、就学前の子どもに多い病気だそうです。

https://medical.jiji.com/topics/943

幸い、頻繁に悩まされたのは小学校までで、中学校以降はすっかり元気になり、特に困った記憶はありません。

けれども、就職して20代半ばになったころから、年に数回程度ですが、人混みに行くと頭痛がして吐き気がし、身体がだるく、ひたすら横になりたくなる、そんな症状が起きるようになりました。

そして、さらに40歳を過ぎたころから症状が顕著になり、頻度も増えてきました。

「ここ一番」という仕事の当日には幸い起こらないのですが、大きな仕事が終わってホッとしたときや、「今日は何もないからゆっくりできる」と思ったときに起きることが多いようです。

持病と思って付き合っていくしかありませんが、食べたら吐き、音にも光にも匂いにも敏感になるので、丸一日ひたすら寝ているしかなく、ヨロヨロと起きられるようになった翌日には体重が確実に一キロは落ちています。

一日たったら治るとはわかっているものの、いつなるかわからない、なったらとにかく辛いので、「もう、こんな病気はイヤ!」と先日、この話しを知人にこぼしていると、思いもかけない反応がありました。

「それって究極のデトックスじゃない?」

確かに。

何も食べられず、食べたら出してしまう。言われてみればデトックスかもしれません。

デトックスにしてもちょっとしんどすぎる、とは思います。けれども、それ以来、「体内の毒素を排出しようとしているのかも・・・」と考えると、何だか気持ちが前向きになれるのです。単純ですね(笑)。

つらいことも「ものは考えよう」

いいことを教えてもらいました。

(小宗睦美)

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