秋の夜の楽しみ

秋の夜の楽しみ

暑さが薄れるのはまだ少し先でしょうが、夜になるとしのぎやすくなってきましたね。少しずつ夜も長くなり、最近では6時を過ぎると真っ暗に。秋の気配が濃厚です。

今年は夏だ!花火だ!出かけよう!という雰囲気でもなかったので、秋の気配がしたからといって何が変わるというわけでもありませんが、家でゆっくり夜を過ごしたいと思っていたところ、ちょうどピッタリなお楽しみができました。

2週間ほど前のお盆の頃のこと。パソコンの受信メールの件名に「当選されました!」という文字が。このところ毎日迷惑メールが山のように送られてきているので、これも新種の詐欺メールかと思い、すぐに削除しようとしました。ただ、ふと気になって件名をよくよく見たところ、「一万円選書に当選されました!」と書かれていたのです。

すっかり忘れていましたが、実は私は「一万円選書」という本屋さんのプロジェクトに応募していたのでした。これは「隆祥館書店」という大阪にある本屋さんが主催しているものなのですが、この本屋さんが朝日新聞で取り上げられ、その記事を読んだ関西の友人から「絶対この本屋さんに行ってみたい!一万円選書に申し込んでみる!」とかなり興奮した(笑)ラインが届いたので、私も興味を持って記事を読み、負けてはならないと応募したのでした。

「一万円選書」というのは、読む人それぞれの悩みや経験、考え方をヒアリングした上で、本屋さんが1万円の予算でおススメの本を選んでくれるというプロジェクトです。メールでカルテが送られてきて、カルテの質問に対して自分の考えを記入するのですが、「尊敬する人は?」「目指している社会は?」「どんなときに幸せを感じますか?」「過去に自分を助けてくれた本は?」「行ってみたい国はどこですか?」等々、なんとカルテは6ページにもわたりました。

普段、ボーっと生きている私としては、この内容を考えるのがひと苦労。就活のエントリーシートに書き込んでいるような気分でした。ようやく記入してカルテを提出すると、本屋さんからカルテに基づいて選ばれた本と選んだ理由が書かれたお返事がきます。その本で納得すれば購入し、本が送られてくるという段取りです。

私は結局9冊の本がリストアップされ、どれも読んだことがない本ばかりだったので、予算はオーバーしましたが、すべて購入することにしました。
こちらが送られてきた9冊です。

自分で選ぶとどうしても好きな作家や文体が偏ってしまうので、人に選んでもらって読むっていうのも面白いかなと軽い気持ちで応募しましたが、なーんと応募者は500人以上、店主の人がお一人で対応しておられるようなので、毎月何名かに限って抽選で選ばれているとのこと。一緒に応募した家族や友人全員が落選したなかで、私だけ選ばれるとは超ラッキーなことだったようです。メールを削除しなくてよかった。ホッ。

「一万円選書」の案内はこちら
https://atta2.weblogs.jp/ryushokan/2020/05/%E4%B8%80%E4%B8%87%E5%86%86%E9%81%B8%E6%9B%B8-2020529.html

さっそく2冊読んでみましたが、いずれも「当たり!」自分の今の心境にピッタリあてはまり、そして読み終わったあとも心に残って考えさせられる、2冊ともそんな本でした。そのうち特に気に入ったのは「三つ編み」です。世界のまったく環境で生きる3人の女性が主人公ですが、「三つ編み」で最後は結び付く、重いけれど、ステキな心温まるお話しでした。

あと7冊。どんな世界が広がるか、秋の夜長が楽しみです。
(小宗睦美)