「オーラの素」を分析してみたら
ほんの一瞬会った(見た)だけの人なのに気になって仕方がない、皆さんにはそんな経験はありませんか? いわゆる「オーラがある」人とでも言えばよいのか、その人のことをチラ見したい、振り返ってもう一度見たい…
私にとっては、先日利用した航空会社のCA(客室乗務員)さんがまさに「その人」でした。
会ったのはほんの一瞬、飛行機に搭乗したときに入口で「こんにちは。いらっしゃいませ」と挨拶され、こちらも「こんにちは」と返事をした、時間にするとほんの数秒のこと。
なのに、その人の前を通り過ぎたときから気になって仕方がない。飛行機を降りるときに「もう一度あのCAさんに会えればいいな」と思ったのですが、結局会うことはかなわず、なおさら気になる存在に。
たとえば街を歩いていて「あの人の着こなし、ステキだな」とか、「あんな髪型に私もしてみたい」と、気になって目が行く、それはよくあることだと思います。
でも、そのCAさんの場合はそうではなかった、なにしろ、その人の顔立ちや髪型をほとんど思い出せないのですから。
お顔を見た瞬間に(失礼ながら)特別美人だと思ったわけでもなく、髪は「長くはなかった」程度にしか覚えておらず、服装はもちろん制服。年齢的にはベテランさんだなと瞬間的に思った記憶はあり、体形は華奢という感じではなかったかな、ぐらい。挨拶のときの笑顔やお辞儀はステキでしたが、これも職業柄、どのCAさんだってステキに違いないわけです。
じゃあ、いったいその人の何がほかのCAさんと違うのか?
その「オーラの素」とは何なのか?
気になって仕方がない私は、英語の講座でいつも生徒さんに伝えていることを応用してみようと思いました。
たとえば、英語の音声を生徒さんに聴いてもらい「どんな内容でした?」と聞くと、「何だかよくわかりませんでした」という答えが結構あります。そんなときは「わからないのは問題ありません。でもわからなかった理由は何なのか考えてみましょう。単語を知らなかったのか、知っているけれど音で聞いたらわからなかったのか、速さが問題だったのか。わからない要素を分析してみないと、いつまでたってもわからないままですよ」と私はよく言うのですが、それと同じで一つずつその人の「オーラ」の要素を分析してみたら、気になる理由がわかるかのでは?と思い、さっそく分析を開始しました。
と言っても、いきなり「オーラ」を分析するのは難しいので、そのCAさんに対して抱いた印象を単語レベルで並べてみました。
思いつくのは「温かさ」「心が開いている」「集中」「前向き」「エネルギー」「明るさ」というところでしょうか。
「こんにちは。いらっしゃいませ」と言いながら、そのCAさんは私の方にスッと手を差し伸べて(実際に手を差し伸べたわけではないのですが)心と身体の両方を「全集中」し、私という一人の乗客を「熱烈歓迎」してくれた、そんなイメージが私の頭の中に浮かびます。
「温かさ」や「明るさ」という印象を具体的に作るのは、顔の表情、声のトーン、視線、立ち居振る舞いでしょうが、「自分の身体と気持ちを相手にしっかり向ける」ことがすべての要素に反映されていたことで、私に強い印象を残したのだろうと思いました。
接客のプロの「オーラ」を分析して、講師として見習えることがたくさんありそうだと思った出会いでした。
(小宗睦美)