英語学習相談室①

英語学習相談室①
~英語で日常会話ができるようになりたいです~

英語学習には目標が必要、とよく言います。
外国語の習得にはどうしてもある程度の時間がかかってしまいますし、こつこつと努力することも必要です。
そのためには目標があったほうがいいということなのでしょう。

ですが、ときにはその目標が英語学習における落とし穴になってしまうことがあります。
英語で日常会話ができるようになりたい、というのは生徒さんの目標の中でとてもポピュラーなものですが、少し危険でもあります。

英語で日常会話ができるようになりたい、を目標にしている方が本当に言いたいのは、(専門的な英語に比べて)日常会話なら簡単だろうから、ということだと思います。
日常会話「程度」、日常会話「レベル」、なんて言ったりもしますね。

確かに、挨拶をしたり天気について話すのは日常会話。
でも、そこから始まっていつの間にか、次に行われる国政選挙や世界的な環境問題の話題に変わっていることも。
(よく、英語で政治の話をしてはいけないと言われますが、私の職場のアメリカ人は政治の話をしまくっています…。)

どんなに複雑な話題でも、会社の会議や国際学会という場で話されているのでないかぎり、それは日常会話になり得てしまう。
これが、日常会話ができることを、英語学習の目的にする怖さです。
こういう目的を掲げてしまうと、目的を達成するよりも、目標が達成できなくて落ち込み、学習のモチベーションが続かなくなって結局挫折してしまう可能性が高いです。

そこでお勧めは、「日常会話」をもっと具体的に捉えることです。
たとえば、「英語で挨拶ができるようになること」にしてみます。
英語にも “Hi!”からはじまっていろいろな挨拶表現がありますし、その後に来る “How are you?”問題(この質問にどうやったら、紋切り型ではなく自然に答えることができるのでしょう?)もあります。
これを全部含めて「挨拶」ですよね。
挨拶だけでも知っていなければならないことはたくさんありますし、もちろんただ知っているだけでは不十分で、練習をたくさんして、口からスムーズに英語が出るようにしなければいけません。

そして「挨拶」ができるようになったら、次は「天気の話」ができるようにしてみる…。
(天気についての表現は本当にたくさんあって、極めようと思うと結構大変ですよ。極める必要はないでしょうが。)
こうやって、日常会話の中で自信をもって話すことができる「トピック」を一つずつ増やしていくといいと思います。
これは、危険な目標ではなく、具体的で、学習を引っ張って行ってくれる目標です。

英語を頑張るためにせっかく立てた目標に潰されてしまうことがないように、自分に合った、具体的な目標をうまく使って学習を進めていきましょう。

(高橋良子)